日本中には様々な温泉が存在し、季節に関わらず多くの観光客で賑わっています。
気持ちよく過ごすことが出来て豊かな時間を過ごすことができる一方で、温泉は公共施設ということも忘れてはいけません。実は温泉にはマナーが存在し、その中でも特に知っておいて欲しいのがタオルに関するマナーです。
体を拭いたり洗ったりするタオルは温泉では必需品ではありますが、必需品であるからこそマナーというのが存在します。皆が快適に過ごすための最低限の温泉でのタオルマナーについて学んでおきましょう。
温泉で絶対に守って欲しい4つのタオルマナー
まず守っておきたい温泉に入る時の4つのタオルマナーについてお伝えします。
①脱衣かごをバスタオルで覆う
最近では、脱衣所に鍵付きのコインロッカーが設置されている温泉が多くなりました。しかし今でも、コインロッカーではなく脱衣かごを設置しているところは存在します。
そして脱衣かごに脱いだ服を入れてそのまま浴室に向かう人を多く見かけますが、これは実はマナー違反です。衣服を入れた脱衣かごは、バスタオルで覆って中の服が見えないようにするのがマナーです。
②湯船にタオルをつけない
浴室に入り、体を洗ってから湯船につかりますが、この時タオルを湯船につけるのは厳禁です。なぜなら、湯船のお湯が汚れるからです。これを言うと「テレビのレポーターはバスタオルを巻いて入ってるじゃん」という意見が必ず出ますが、あれはテレビだから特別に許可されているもの。温泉ではタオルを湯船につけるのは厳禁です。
湯船に入る前にタオルで体を洗っているため、タオルには石鹸カスや垢が付着しています。それを湯船につけると、その汚れがお湯に混ざってしまいますよね。
一応浴槽にはろ過装置が設置されているものの、石鹸カスはお湯の表面に浮くなど見た目にも清潔さを損なうもの。また、湯船に残った石鹸カスや汚れは浴槽の壁に付着して管理している温泉の方へも迷惑がかかります。湯船にタオルをつけるのはやめましょう。
③サウナに入る前にタオルで体を拭く
濡れた体のままサウナに入る人いませんでしょうか。これもマナーとしてはNGです。
サウナに入る前には必ず濡れた体をタオルで拭きましょう。濡れたままだと、サウナに入っても十分な効果を得られませんし、何より床に敷いているマットが濡れてしまいます。
そしてサウナでは多量の汗をかきますが、この汗をタオルで拭き取るのもマナーになります。いくらサウナと言えど、他人の汗でビショビショになっているのは気持ちの良いものではありませんので拭き取りましょうね。
④浴室から脱衣所に入る前にタオルで体を拭く
温泉でのひと時を終え、浴室から脱衣所に向かいますが、この時濡れた体をタオルでしっかりと拭き取りましょう。濡れた状態で脱衣所に入ると、床が濡れてしまいます。意外に出来ていない人が多いです。
多くの温泉では浴室から脱衣所までは距離がありますし、間の扉の前に拭き取るためのスペースが取られていることも多いです。しっかりと体を拭いてから上がりましょう。
湯船以外でデリケートな部分を隠さないのはマナー違反?
温泉では、デリケートな部分(男性は下半身、女性は胸と下半身)をタオルで隠している人と、隠さずに堂々としている人に分かれますよね?
そして、このデリケートな部分をタオル隠さないのはマナー違反だと主張している人をネット上でよく見かけます。「デリケートな部分を堂々と出していると、周りの人が目のやり場に困るから」というのが、彼等の主張のようです。
先ほどお伝えした通り、湯船にタオルを入れるのはNGですので、湯船に浸かる時はデリケートな部分を隠すのはむしろマナー違反となります。
では、湯船以外でもデリケートな部分を隠さないといけないのでしょうか?
結論から言うと「温泉では常にデリケートな部分を隠すべき」などというマナー・ルールは存在しません。大半の温泉では、湯船にタオルをつけることを禁止していますが、湯船以外ではタオルで前を隠そうが巻こうが自由です。恥ずかしければ隠せばいいし、恥ずかしくなければ堂々としていればいいのです。
温泉に入る時に重要なのは、リラックスした時間を過ごすということです。それが「タオルで前を隠すべきか隠さないべきか」「周りの目が気になって恥ずかしい」などということばかりを気にしていては、せっかくの温泉が台無しになってしまいます。恥ずかしいと感じるのであれば隠しても問題ないので、リラックスすることを第一に考えましょう。
湯船に浸かる時はタオルを頭に乗せる意味
温泉と言えば、頭にタオルを乗せている人の姿を想像しませんか?頭にタオルを乗せるのは昔から日本に存在する文化であり、マナーやルールではありません。
しかし、実は湯船につかる時にタオルを頭に乗せるという行動は実は意味があるんです。
タオルを頭に乗せる事で「のぼせ」を防ぐことができるのです。
湯船につかっているときは、水の圧力が体にかかります。これによって、血液が頭にのぼってのぼせやすくなるのです。そこで、冷たい水で濡らしたタオルを頭に乗せることで、頭に集中した血液が分散され、のぼせにくくなります。
ただし寒い日の露天風呂では、冷たいタオルを頭に乗せてはいけません。気温が低いと逆に頭に血液が集まりにくくなり、そこに冷たいタオルを乗せると、血圧が急激変化。貧血を引き起こす危険性があります。もし、冬の露天風呂でタオルを乗せるためには、40℃くらいのお湯で濡らしたタオルを頭に乗せるようにしましょう。
正しい温泉でのタオルの乗せ方
単にタオルを頭に乗せればいいというわけではないのが、乗せタオルの難しいところ。
頭全体をタオルで覆うように乗せるのが正解です。頭が十分に覆われていないと、のぼせや貧血の予防効果が半減してしまいます。
このときの濡れタオルは軽く絞る程度に留めます。水分が少なすぎると、お湯が蒸発して効果が少なくなってしまうためです。
以上のように、タオルを頭に乗せるのはマナーではないものの、のぼせや貧血の予防というちゃんとした理由があります。湯船に浸かる時はタオルの置き場に困ることもあると思いますので、そういう意味でもぜひタオルを頭に乗せてみてくださいね。