話題の「専顔タオル」が気になる
画像引用:おぼろタオル
顔に触れるタオルは、女性の美しさを決めるだけの影響力があるのは言うまでもありません。
これまでもオーガニックタオルなど肌に優しいタオルについて紹介してきましたが、顔に触れることのみを想定して作られたタオルはなかったのではないでしょうか。さすがに、特徴の際立ったタオルということもあり、すでに美容雑誌『up PLUS(アッププラス)』ファッション誌の『ViVi』などの有名な雑誌でも取り上げられるほど。
今回は最近話題になっている洗顔専用タオル「専顔タオル」について見ていきましょう。
「専顔タオル」の特徴は?
画像引用:おぼろタオル
「あなたの素顔がもっと美しくなるために」というキャッチフレーズと優しい印象のイラスト。顔専用のタオルしっかりかかれたパッケージが特徴です。
実際手にとって見ると、後晒しをしているはずのおぼろタオルさん製法にもかかわらずしっとりとした感触。
画像引用:やさしい暮らし
使われている糸を見ると少なくとも2種類がパイルに使われていることがわかります。
ミシン糸のような細い撚り糸
無撚糸に近い綿毛のような糸
主にこれらの糸で程よい肌触りを作っているのですね。普通のフェイスタオルでここまで細い糸が使われているのは初めて見ました。今治タオルの「白雲(HACOON)」も細い糸を使っていましたがそれよりも圧倒的に細い。
画像引用:おぼろタオル
カラーはホワイト、ピンク、シナモン、ライトグレーの4色。どれも優しい色で癒されます。爆発的に人気が出たらカラーバリエーション増やしてほしいと感じてしまいます。限定でおぼろタオルのイメージカラーの藍色とかおしゃれそう。
サイズ:32×60cm(フェイスタオル)
素材:綿100%
生産地:三重県津市
洗顔専用「専顔タオル」の機能について
画像引用:おぼろタオル
上のグラフはおぼろタオルが自主試験として大阪府立産業総合研究所で試験をした結果になります。
左のグラフは吸水の速さを評価したものですが、普通のパイルタオルと比較すると3倍以上の速度になっていることがわかります。これは綿毛のようなタオルの機能で、糸がすでに空気を含んで膨らんだ状態でパイルになっているので、毛細管現象でお水を触れた瞬間に生地に引っ張ることが出来るためです。
また、右のグラフがさらにインパクトが大きいのですが、吸水量が4倍になっています。これも空気がたくさんあるためなのですが、しっかりと吸収したお水をベース記事へ運搬させる設計がよく出来ていると感じられます。
普通髪の毛を拭くタオルとしては、弱くなりすぎるほど極端に柔らかくふんわりさせる方向に思い切って舵を切ることで生まれた奇跡のようなタオルですね。タオルラボで高評価している育てるタオルと同じような吸水のメカニズムを使っているのですでに育てるタオル派になっている方は、ぜひ専顔タオルも試してみてください。
専顔タオルの基本特許で特性の秘密を考えてみる
現在出願公開中のために、特許番号はついていない(2020年1月28日現在)ですがおそらく基本特許となるのは「特開2018-127742」でしょう。この特許は製品の製法がメインとなるため、基本的には守りの特許という印象。
それでは、専顔タオルのやわらかさの秘密を探っていきましょう。ちなみに、以下の特許の中には番手という単語が出てきますが、これは糸の太さを表す単位です。数が大きくなるほど糸が細いことを表します。つまり「○○番手以上である」という表現がされているということは、糸が細いのが特徴であるという意味ですね。
【発明の名称】繊維製品の製造方法及び繊維製品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイルを備えた繊維製品の製造方法であって、アルカリ溶液に可溶な易溶性繊維と、アルカリ溶液に不溶で40番手以上の綿糸と、を含む複合撚糸をパイル糸とする生地を形成し、前記生地から前記易溶性繊維をアルカリ溶液で溶解除去することにより、前記綿糸で前記パイルを形成する、繊維製品の製造方法。【請求項2】
前記パイル糸が、複数の前記複合撚糸からなる、請求項1に記載の繊維製品の製造方法。【請求項3】
前記綿糸が80番手以上であり、前記生地を製織する際に、前記パイル糸に糊付けを行わない、請求項1又は2に記載の繊維製品の製造方法。【請求項4】
パイルを備えた繊維製品であって、前記パイルは、アルカリ溶液に可溶な易溶性繊維と、アルカリ溶液に不溶で40番手以上の綿糸と、を含む複合撚糸をパイル糸とする生地から、前記易溶性繊維をアルカリ溶液で溶解除去することによって残存した前記綿糸で形成される、繊維製品。【請求項5】
残脂率が0.3%以下である、請求項4に記載の繊維製品。引用:特開2018-127742
請求項1について
専顔タオルの構成についてわかりやすく説明している請求項です。製造されたタオルの特許ではなく、製法についての請求項が第一に書かれています。
どうして洗顔用のタオルになりえるのかということがとてもよくわかる内容が書かれています。
技術者としてみると、40番手以上でなければいけない証拠を説明できるかが特許登録のポイントになりそうです。
また、空気を含ませるために使用しているのは、共重合ポリエステル糸及びポリ乳酸糸。この特殊な糸はアルカリ液で糸が溶けるので、製品のなかに空洞をたっぷり作ることができます。
請求項3について
こちらのこれは綿糸がかなり細く、アルカリ溶液で溶ける糸のおかげで糊付けしていないという内容なのかなと推測します。後晒しで糊の有無が製品になったときにわからなければ証明しにくい、技術力高さは感じるが特に意味は感じない請求項。
競合の会社からすると、あまり意識しなくて良い製法かもしれませんね。ただ、使いたいと思っている方へ、このタオルは本当に細い糸を扱っているので、すごく優しく織っていると思います。職人さんのお手間がかかったものだと、感謝して使ってほしいなぁ。
請求項4について
ここで初めて製品の請求項が出てきます。独立クレーム。請求項1の製法で作った製品と同じ意味かな。ここはもう少し工夫して、請求項1になんとか製品の特許で出してほしいところ。
おぼろタオルの特許関係者の方へ
工夫するとよりマネされにくい製品の特許になると思います。
お問い合わせより連絡いただけましたら、アイディアについてお話させていただくことも可能です。
会社のドメインでのメールアドレスでご連絡いただけば、電話相談おうけいたします。(詳しいデータなどもちろん必要なく、コンセプトだけお伝えしますw)
まとめ
特許の解読に力が入りすぎてしまいましたが、専顔タオルは使い方を限定することで生まれた他にはないタオルの感触です。
吸水力、吸水速度が高いので、触れただけで洗顔後のお水を吸い取ってくれます。敏感肌の方はもちろんですが、赤ちゃんの浴用ガーゼタオルとしても使いやすいのかなと感じました。
これだけノウハウを出しても良いのだというのですから、おぼろタオルの製造の技術レベルはかなり高いことが伺えますよね。実際触ってみると本当に軽い手触りで擦れる感触がほとんど感じられないほど。
価格:1,100円(税込)