タオルにつかわれる繊維として「コットン」「リネン」「マイクロファイバー」「バンブーレーヨン」などがありますが、「シルク(絹)」のタオルも存在します。
シルクという素材は古くから希少性の高い天然繊維として知られます。実際にシルクを使ったパイルタオルは生産量はごくわずか。
今回はシルクが貴重で高級な理由と、数少ないシルクの国産バスタオルをご紹介していきます。
シルクは高級である理由
シルク(絹)は、コットンやリネンといった植物からつくられる天然繊維とちがい、動物が体内でつくる天然繊維です。蛾(が)の幼虫である蚕(かいこ)が、羽化のために体内でつくり出した糸で繭(まゆ)をつくります。この繭から、糸を引き出したものがシルクです。
1つの繭から1000mほどの長い繊維がとれ、独特のうつくしい光沢感を持っているという特徴があります。糸の光沢ある美しさと希少性から、紀元前・数千年前から交易品としても珍重されてきました。西遊記でも有名な「シルクロード」は、その交易に使われた道のことを指します。
かつては、野生の蚕でつくられていましたが、養蚕(蚕の養殖)が盛んになることで流通量は若干増えました。しかし、羊を育て毎年毛を刈り取ってつくる羊毛などちがい、蚕が一生に一度つくる繭からでしかシルクをつむぐことができないため量産が難しい糸。
また、化学技術が進んでシルクに近い風合いをもつ合成繊維が生まれたことで、養蚕が衰退してシルクはつねに希少で高級な天然繊維という位置づけになったいるのです。
シルクの特徴とシルクのタオル
シルクの特徴
- 人間の肌と同じ、タンパク質・アミノ酸からできている
- 天然繊維の中で最も細く長いので、とても軽くて丈夫
- 繊維の断面が三角形に近い形状をしている
- 吸水性・吸湿性に優れている
- 温度の保持能力が高い
- 静電気が起こりにくい
肌に優しく洗浄能力が高い
人の肌と同じ成分でできている極細の繊維でつくった製品は、静電気が起きにくくしっとりとして、素肌にとてもやさしいのです。
また、繊維の断面が三角形で、汚れを落とす力があるので、シルクのタオルといえば、小さなサイズの顔や体を洗うときにつかうボディタオル・ウォッシュタオルがほとんどです。
このタオルで洗うことで繊維の持つたんぱく質が肌に付着し美肌効果も得られるので、手っ取り早くシルクの特性を感じるなら、体を洗うタオルが良いでしょう。サイズが小さいのでお値段もお手頃です。
お洗濯も簡単なシルクのタオル
お肌にやさしい素材なので、もちろん、バスタオルにも適しています。繊維が細いので吸水性も高く、軽いので乾きもはやい、しっとりとした光沢感のあるタオルになります。
シルク製品は繊細でお洗濯が大変と思っている方も多いようですが、タオルの場合、しわなどを気にする必要もありません。
洗濯ネットに入れて、洗濯機の手洗いコースや、弱い水流のコースで洗っても問題ありません。若干摩擦に弱く、直射日光で変色する可能性はあるものの、もともと丈夫な繊維。長持ちさせたいのであれば、シルク専用の洗剤をつかったり、手洗い・日陰干しするのがオススメですが、シルク製の衣類よりも扱いは簡単なのです。
意外にも保温性抜群
たんぱく質の効果で体温を保持する能力も高いので、体を拭くだけでなく肌掛けにするのも良いです。
肌に直接当たる枕カバーのようにつかえば、眠りながらスキンケアができます。赤ちゃんのおくるみにも最適です。
誰もが知る高級素材だからこそ、シルクのバスタオルは、贈り物としても充分なお品。けっしてお安いものではないので、大切な人の節目のときなど特別な贈り物に向いていますね。
シルク100%の国産バスタオル 3選
一見するとメリットが非常に多いシルクのバスタオルですが、問題は糸の希少性です。
コットンのタオルに新しい質感をくわえるため、少量のシルクを配合したバスタオルはあるものの、シルクの糸だけで体を拭けるほどの大きなタオルをつくるのは高額になってしまいます。材料となるシルクを大量に入手できるタオルメーカーは少なく、現在は量産するのがむずかしい現状のようです。
もともと敏感肌やアレルギーのある人から人気の高かったシルクの製品ですが、冷え取り靴下で注目を集めてから一般にも人気が広がっています。シルク製品の専門店も増えていますよね。
値段が高くてもシルクのバスタオルが欲しいという消費者からのニーズを受けて、シルク100%のバスタオルをつくるショップも出てきました。今回は特に注目の3つのシルクでできた国産バスタオルをご紹介していきます。
【シルクマルベリー】シルクタオル
「シルクマルベリー」は25年以上、シルクだけにこだわり続けてきた、シルク専門メーカー。
オンラインショップは商品ラインナップが幅広く、肌に直接触れるインナーから、シルクの風合いを生かした衣類、静電気が少なく着心地のいいパジャマ、シルク小物・雑貨、絹の和装束まで手がけています。シルクの洗剤も取り扱いしていて、シルクに関するものなら何でも揃うというお店になります。
シルクマルベリーの「シルクタオル」は、もちろんシルク100%。自社で企画され、国内の提携工場で縫製までおこない丁寧につくられています。
価格を抑えるためか、バスタオルのサイズは小さめの33.5㎝×88.5㎝となっています。ごくごくシンプルなパイルタオルですが、絹を使っているということで肌触りがよく、敏感肌の人はもちろん、生まれたての赤ちゃんにも使うことができます。
蚕の繭の色はいろいろあるのですが、このタオルは日本の農家で多く養蚕されている白い繭がつかわれていて自然のホワイトを感じられます。
価格:11,800円(税抜)
【シルクの部屋】シルク100%ミニバスタオル
絹の糸を織物メーカーに提供するマルタカシルク株式会社が直営するシルク製品のショップが「シルクの部屋」。上質のインナーやパジャマはもちろん、シルクの特性を生かしたお風呂グッズ、保温性・保湿性を生かした靴下やサポーター、腹巻、マスクまで、日常に取り入れやすい商品が取りそろえられています。
ショップ利用者からの要望にこたえ、
「贅沢なシルクを日常のシルクに」をコンセプトに、日本のタオル職人さんと数年間の試行錯誤をつづけて生み出されたのが「シルク100%ミニバスタオル」です。
コンパクトな63cm×100cmというサイズです。生地のベースにはコットンをつかい、肌にあたるパイル部分をシルク100%で織りあげています。届いた直後はパイルが寝ている状態で、お洗濯をすることでパイルが立ち上がり、ふんわり感が増し肌ざわりも良くなります。毎日使うのが楽しみになるタオルです。
価格:6,800円(税抜)
さまざまなニーズに合うタオルづくりを目指している「ウチノタオル」。コットンだけにこだわらず、あらゆる繊維を研究し取りいれて個性的な国産タオルを生み出し、タオルラボでも注目してきました。
繊維の特性を生かすタオルづくりに定評のある「ウチノタオル」が手掛けたシルクのタオルが「SLシルクC バスタオル」。
シルクのしなやかさとなめらかさはそのままに、匠の織りの技術で吸水性の高い上質なタオルになっています。贅沢にシルクをつかい70㎝×140cmのたっぷりサイズなのも他にはない魅力です。
ベースはコットンでパイル部分がシルク100%と肌に触れる部分が全てシルクとなるように設計されています。
決してリーズナブルではありませんが、存分にシルクの肌ざわりを味わいたい人に向けたタオルですね。人の肌に近い素材なので赤ちゃんの肌にもやさしく、出産祝いの贈り物にすれば、きっと喜ばれるでしょう。
価格:18,000円(税抜)
まとめ
高級な絹糸と、タオル好きなら一度は試してみたい贅沢なシルクのバスタオルについてご紹介してきました。意外とタオルとしてのメリットが多い素材であることが分かったかと思います。
今回は国産のバスタオルに絞りました。もし、自分用にシルクのバスタオルを探したいというときには、比較的リーズナブルな外国産も視野に入れるのも有りです。中国産であればもう少しお財布にやさしいシルク100%のものを見つけることができます。
まず、シルクの良さを体験してみたいという方は、小さなタオルから始めてみるのも良いでしょう。古代から珍重されるシルクの良さが実感できたら、大きなタオルに是非挑戦してみてください。