雨の日が好きです。
外の空気が洗われて、すっきりした気分になれるから。
ただ、お洗濯物のことを考えるとやはり厄介であるのは事実。乾きにくいし、生乾きの臭いが出るし。
今回は元化学者の私が、生乾きの嫌なにおいを減らす、部屋干しの成功率をアップさせるためにやるべきことをお伝えします。
部屋干しで臭いが付く原因を考える
部屋干しで発生する臭い、この原因は雑菌であることはご存知でしょう。目に見えない小さなものが臭いを感じるほどに成分を発生するのですから、どれだけの量になっているか。
この臭いの成分は、中鎖アルデヒドやケトンや硫黄化合物、脂肪酸などの化合物であるとされます。
数ある雑菌の中でも「モラクセラ菌」というものが、衣類の臭いを特に影響があるということが、2011年の花王株式会社と愛知学院大学の研究によって明らかとなりました。
つまり、「モラクセラ菌」の増殖する条件を把握することが、部屋干しの臭いを抑制することにつながるのです。
モラクセラ菌の特徴を知ろう
モラクセラ菌は現在までに、以下のようなことがわかっています。
特徴
- 増殖する温度は20~40℃
- 湿度60%以上で活発になる
- 洗濯では死滅しない
- 人間の皮脂で増え、臭い物質を排出
- 紫外線に耐性がある
厄介なのは、通常の洗濯で死滅することがないということと、日光による消毒の影響がある程度限られているということです。生乾きの臭いに悩む方が多いのも、菌の強さも影響しているのです。
また、発生させる臭いの成分は一度付着するとなかなか除去するのが難しく、タオルや衣類が水に触れることで再度臭いを発生します。
部屋干しで生乾きの臭いが出ないようにする方法
ここからは部屋干しの臭いを防ぐためにできることとその効果予測をひとつずつお伝えします。
洗濯機を清潔に(効果特大)
新しいタオルなのにもう洗濯物が臭くなるという方は、洗濯機で菌が増えすぎている可能性が高いです。
菌の付着さえゼロに出来れば、本来はどんな環境で乾かしても生乾きにはならないのです。
抑えておくべきは洗濯機。
こまめに洗濯機の洗浄を行い、洗濯機の中が菌が増える状態になっていないことが大切です。
わが家では、洗濯槽クリーナーを1ヶ月に1回は行っています。さらに洗濯機の蓋は常に開けておき、湿度がたまらないよう風通しを重視。
除湿機を付ける(効果大)
洗濯物が乾くためには、湿度が低くなければなりません。窓が結露しているような方は、湿度が90%以上でほとんど洗濯物の水分が空気中に逃げることができません。
蒸発できないお水は結果として衣類に残るため、乾かないという状況が続きます。
速く乾かすことは、菌の増殖する時間を減らすことにつながります。
除湿機のような専用のものがあれば効率が良いですが、エアコンの除湿モードもある程度は使えます。菌増殖の条件である湿度60%以下はいずれを使用しても難しいですが、乾燥にかかる時間への影響という意味で使うことになります。
エアコンは設置している位置が高いので、除湿機に比べると洗濯物周りの湿度への影響がやや遅いというデメリットは理解して利用しましょう。
洗濯物を離して干す(効果大)
乾かしやすくするために、洗濯物と空気の接触面積をなるべく広くすることが大切です。
ズボンであれば胴回りや裾を広げて干すようにしたり、ポケットを裏返しにするなどがこの対策の一つです。
その他、ひとつひとつの洗濯物同士も離して干すようにすることで間の空気が流れるので乾燥を促進させることができます。
室温を低く(効果中)
モラクセラ菌の活動が活発なのは20~40℃です。
細菌の多くは10℃以下で増殖が一気に遅くなり、-15℃以下は停止する特徴があります。(最も活発になるのは30~35℃)
部屋干しする部屋の室温を少なくとも20℃以下、好ましくは限りなく下げれば雑菌の増殖を抑制することができます。ただし、室温が下がると洗濯物の乾きにくさにつながるので、少なくとも30℃を超えるような蒸し暑い環境にはしないことが大切です。
サーキュレーターで風を当てる(効果中)
部屋干しのときに風を洗濯物に当てるのは、ある条件が整えば効果があります。
その条件とは、湿度が低いこと。
除湿機やエアコンの除湿モードをつけて水分が蒸発するだけの条件が整ってから、サーキュレーターで効率を上げるようにしましょう。
湿度が高い状態で風を当てても、乾きやすさにはほとんど影響しませんので注意が必要です。
洗濯物を裏返す(効果低い)
雑菌が臭いを出す条件として、人間の皮脂や汚れなどが存在することがあります。これを防ぐために衣類を裏返して皮脂がつきやすい側を表にして洗浄効果を高めるという考えもできます。
たっぷりとお水が流れる条件で洗っていれば、影響は小さい。タオルなど裏表なくてもにおいますからね。
エアコンをきれいにする(効果低)
室温調整や除湿運転と部屋干しで生乾き対策するために必要なアイテムであるエアコン。
非常に便利なのですが、エアコンのフィルターなどに汚れが溜まっていると、雑菌を放出する可能性があります。
とはいえ、水のない状態(気体)での菌の移動は限定的と考えられますので、効果は低いとしました。
お部屋の掃除(効果低)
部屋干しをする部屋は大抵の場合、固定されますよね。
洗濯物を干す場所にすでに菌がたくさん住みついている可能性があるため、部屋の壁や天井、床などを清潔にすることが大切です。
この時にはお部屋に使える除菌スプレーを利用すると効率的に除菌できます。
まとめ
今回は原因を考慮した部屋干しで嫌な臭いを発生させなくするための方法をお伝えしました。
せっかく良いタオルを購入しても、梅雨時期に臭くなるからという理由で使い心地を犠牲にしてコスパ重視のものを使っている方もいらっしゃいます。
洗濯ものの干し方や洗剤に注目しているものが多いですが、原因を考えると洗濯機の清潔さも重要になってくることがわかります。
洗濯物に菌をつけさせず、増やさないために手早く乾かす。
これが重要です。