白い酸化皮膜がついて、金属光沢が少なくなってしまったマグネシウム粒の洗剤の復活方法について紹介していきます。
マグネシウム洗剤を復活させたい!でも処理法がわからない
ネット上で色々な情報が出てはいるようですが、具体的な濃度や時間などが解説されているものは少ないですよね。
今回は元化学者の私が、実験をしてしっかりとマグネシウムの活性化処理に必要な条件をお伝えしていきます。研究所で役立つので危険物取扱者の甲種をもっていたりするのです。
※このマグネシウムは活性化すると比較的反応性が高いです。火のそばで扱ったり、金属製の容器で処理をすると反応して予期せぬ事故につながります。注意しましょう。
使用する材料は?
使用する材料
・クエン酸
・お水
米酢などの酢酸でも可能ですが、クエン酸の方がにおいも発生せず、反応もマイルドになるのでオススメです。100円ショップでも入手できますので、そちらをご使用ください。
濃度と時間は?
検証のために濃いクエン酸水溶液を使って反応を見ていきましょう。
水:100mL
クエン酸:大さじ1杯
クエン酸水溶液濃度は9%としました。※実際にオススメの濃度は下で紹介します。
9%クエン酸水溶液処理開始直後
5秒後の溶液の様子
酸化マグネシウム皮膜除去後の見た目
左がクエン酸処理前、右が1分間処理後の外観になります。
金属らしい銀色の光沢が出るようになっているのがお分かりいただけるでしょう。この状態になれば水との反応が活発になり、洗剤として機能することになります。
処理するとマグネシウムは小さくなるの?
徐々に小さくなるのは間違いないです。
ただし、今回行った1分間の溶液処理では、酸化皮膜は取れて活性化しましたが、重量は0.1gも変化せず(10.0g⇒10.0g)。
極端にマグネシウムがなくなるということはありません。
クエン酸水溶液濃度と処理時間
9%のクエン酸水溶液1分間でも十分に処理できるのですが、泡の発生がかなり激しいのでもう少し抑え目の方が扱いやすいでしょう。
検証した結果、「約2%クエン酸水溶液×5分間」を推奨します。
具体的には400mL(2カップ)に対して、クエン酸を小さじ2(約6g)の調整で大丈夫です。
酸化皮膜を取り除くのには、充分なクエン酸の重さが入っているので、たくさんのマグネシウム洗剤を一気に処理するからといって、溶液の量を増やさなくても大丈夫です。
1年間使った重量変化ってどれくらい?
今回は伊織で購入したマグネシウム洗剤「iori-friendly(伊織オリジナルマグちゃん)」を使って実験をしています。
実は実験用として1年間1回もクエン酸による活性化処理をしないものを準備しました。お洗濯の旅に他のマグネシウム洗剤と一緒に入れておき、繰り返し使うこと365回。
きっとマグネシウムは相当軽くなっているだろうなと予想していました。
初期重量は「正味量 約70g」と明記されています
約70gのマグネシウム洗剤、メッシュの袋をカットしていきましょう。
袋は外側の粗めのメッシュと内側に細かいメッシュの2重構造になっていました。
約70g ⇒ 67.3g
ん?これが意味すること、お分かりでしょうか。
67.3gは400回近く使用したのに、ほとんど重量が変わっていないということを意味しています。
活性化しない状態でマグネシウム洗剤を入れても、洗浄能力は発生していない可能性が高いです。マグネシウムは空気に触れることで、粒の表面に酸化マグネシウムという水に溶けない薄い膜を作ります。これがある程度厚くなってしまうと、洗剤同士の摩擦で取れるレベルではなくなり徐々に洗剤の能力が下がっていくのでしょう。
やはり、『マグネシウム洗剤は活性化させながら使わなければいけない』ということです。
どこから反応性が失われるかは、状態を見ることができませんので、頻繁に行うのが良いでしょう。
オススメの復活処理の頻度ですが、2週間に1回、好ましくは1週間に1度は行った方が安心できます。