タオルのお洗濯の情報を調べていると、洗濯機にお酢を入れて回すという方法を提案しているものがあります。
洗濯するときにお酢を入れることによって、
柔軟剤の効果が出るというものや、カビの臭いを取ることができるという効果などが言われています。
ですが、長く科学の世界にいた私からしてみると、「ありえません」。
お酢をタオルのお洗濯に入れる事は百害あって一理なしとも思える策となっています。
お酢がタオルの洗濯にNGな理由
お酢を洗濯機に入れてタオルを洗うことについて、やめた方が良い理由についてお伝えします。
お酢の成分はひとつではない
一般にお酢と言うと、高校生の時に習った酢酸でしょうと思われるかもしれません。
ですが、市販されているお酢は醸造によって作られ、美味しいと感じるように工夫されたもの。
酢酸以外にもたくさんの化合物が混ざっているものなのです。
その中には、旨み成分のグルタミン酸を初め、種々のアミノ酸、糖類、窒素化合物、香りの成分であるエステル類などが細かく入っているのです。(参考:醸造酢と合成酢の鑑別 など)
今からお洗濯で綺麗にしようという段階で、糖類やうまみ成分などをタオルにまとわせて仕上げるなどというのは、汚れを付けているのと同じなのです。
汚れた状態でタオルを保管すると、劣化を促進する可能性すらあります。
タオルの臭いを抑制する根拠がない
タオルの雑菌の臭い、カビの発生など不衛生になっている場合にもお酢が推奨されていることがありますが、これについても根拠がないといっておきましょう。
お酢の強いにおいで、相殺するつもりなのか気分の問題でしょう。
お酢をタオルの洗濯に入れる効果は限りなくゼロと申し上げておきます。
実際に株式会社エフシージーの研究によると、黄色ブドウ球菌数を食酢を入れる前後で観察する実験が行われましたが、お水のみの場合と比較して全く変わらないという結果が得られています。(参考ページへ)
もし、手軽に殺菌したいのであれば、ややコットンが傷みますが熱湯につけてしばらく放置。それからお洗濯をする方法がオススメですよ。
カビの繁殖をむしろ増やす可能性も
カビを防ぐという点から見ても、お酢を入れるのは逆効果です。
先に述べたようにお酢の中には、糖類やアミノ酸などの成分が含まれています。タオルの繊維の上にこのような成分が存在していた場合、これは肥料になってしまうでしょう。
また、タオルにカビが繁殖しないようにするためには、タオルが濡れている状態にある時間を極力減らす必要があります。
ガムシロップを想定してもらえればわかりやすいですが、お水よりトロッとしていて蒸発しにくいですよね。タオルに糖分が付いている場合には、乾きにくさに影響しカビが増えやすい環境を作る事になってしまうのです。
洗濯機に酸性は故障の原因
洗濯機に酢酸成分のあるお酢をいれることは、機械に使われている金属成分の腐食を促進します。
使われているネジや金属部品が錆びてしまい、繰り返し振動を受けるお洗濯中に部品が壊れる可能性があります。
完全に洗濯機の中に付いたお酢の成分を落とすことができれば問題ないでしょうが、これは不可能。リスクが大きすぎるのでやめておきましょう。
この点においては、お酢だけでなくクエン酸も同様です。特にクエン酸の場合には固体の成分ですので、そのままにして蒸発することがありません。間違った情報が多く出ていますので、お気をつけください。
まとめ
今回はタオルのお洗濯にお酢を入れることの是非について書いてきました。
結論は、「完全にNG」。タオルに限らず、洗濯機にお酢を使うのは避けておく方が賢明でしょう。
殺菌についてもお湯で済みますし、最近は柔軟剤がなくても柔らかく仕上がる洗剤も出ていますのでそのようなアイテムを使うほうが良いです。