ふわふわタオル、さらさらタオル、モコモコタオル、タオルと言ってもいろいろな手ざわり肌ざわりがありますね。
ひと言でタオルと言っても、つかう糸の種類や太さ、糸の織り方によって全く違う風合いになります。今回は、タオルラボでも注目の今治タオルが得意としているふわふわのジャカード織りについてご紹介していきます。
ジャカード織りってどんな織り方?
ジャカード織りは、200年以上前のフランス革命のころ、フランスの発明家、ジョゼフ・マリー・ジャカールという人が発明した織機で織る技術で、立体的な美しい模様が表現できるのが特徴です。
複雑に織り上げて模様をつくるので、ふわふわでありながらしっかりとした生地になり、高級感のある仕上がりになります。
日本ではジャガード織りとも言われています。ジャカールさんが考案したので、正しくは、ジャカード織りですが、ジャガード織りという名称も広く知られているようです。
アボガド=アボカドと同じように、ジャガード=ジャカードだと覚えておけばOKですね。誰かの間違いが日本語の発音のしやすさから変化してしまったのでしょう。
ジャカード織りの種類
ジャカード織りには、細かく見ていくとたくさんの種類がありますが、タオルの織りかたに関しては大きく分けて「上げ落ちジャガード」と「毛違いジャガード」の2種類あります。また、この2種類を組みあわせて織ることもあります。
上げ落ちジャカード
上げ落ちジャカードは、糸の織り方に高低差をつけて柄をつくっていきます。
縦糸・横糸を細かく操作して、タオルの表面と裏面それぞれのパイルを「上げる」か「下げる」かで、柄を表現します。柄が浮きだし立体感がある仕上がりになり、1色の糸でもさまざまな模様を表現する事ができるのが魅力です。単色のタオルに柄の陰影が浮き出して上品で高級感のある仕上がりになるのが特徴です。
ホテルのタオルに、浮き出すようにロゴが織られているものを見たことがあるでしょう。タオルケットなどにも良く使われる手法です。
毛違いジャカード
毛違いジャカードは、先に染められた2色以上の糸を使って柄を表現していきます。
毛違いジャカード織機は、決められたデザインにそって、縦糸とパイル糸を上下させながら、模様を織りあげていきます。凹凸のあるふっくらしたタオルに色糸で模様が描かれる形となり、裏面は表面と反転したデザインになるので、両面に柄のあるリバーシブルで楽しめる贅沢な仕上がりになります。
プリントタオルとちがい、タオルの風合いを損なわずに文字や模様を表現できるので、量より質にこだわったアーティストのオリジナルタオルなどにも多く利用されています。
ジャカード織りのタオルの特徴
ジャカード織りのメリット
ジャカード織りは、模様を立体的に表現するため織りの目が細かく、糸がたくさん使われている高級感のあるタオルになります。生地がしっかりとしていて、吸水性や保水性が高く、やわらかくふんわりとした質感を長くたのしめます。
立体的な柄が美しく見た目がオシャレ。
また、先に染められた糸で柄を表現しているので、あとで生地を着色するタオルよりも、色落ちが少ないので、長期間、色や柄を保ちます。ジャカード織りのタオルは、いろいろな意味で、耐久性が高いタオルといえますね。
ジャカード織りのデメリット
ジャカード織りは、通常の織りよりも手間がかかるのがデメリット。織りながら柄をつくっていくため、織る前の段階で完成品としてのデザインが決まっている必要があります。
デザインを元に、ジャカード織機のための型をつくり、材料となる糸を染める工程からはじまります。しっかりとした糸染めの技術があってこその織り方です。
織機もコンピュータ化によって柄の表現は豊かになりましたが、本来は熟練の織物が綿密に機械を調整しながら織りあげていくタオル。
高速化ができているとはいえ、通常の織り方よりも時間もコストもかかります。優秀な織機と、糸染めの技術、織りの職人の3つがそろわないと実現できないのが、ジャカード織りのタオルです。
ジャカード織りの歴史
ジャカード織機が発明される以前は、複雑な模様を織るときには、たくさんの人が役割分担をして、生地のベースとなる縦糸を手動で持ち上げて横糸を通し、柄を表現する方法をとっていました。
ジャカード織機は、事前に模様のデザインを機械に覚えさせて、縦糸を自動で持ち上げることに成功。むずかしい模様を手動よりも早く織ることができるようになりました。下の画像は一般的な柄のある織物の構造を示していますが、横糸が上にあるかどうかで色を表現できることが分かると思います。タオルの場合には両面に縦糸が出てパイルを作るような形になりますが、構造のイメージはつかめるのではないでしょうか。
この複雑なジャカード織りは明治初期に日本にジャカード織機が持ち込まれてから、日本の織物産地で開発されて受け継がれてきた、歴史のある織りの技術でもあります。
近年では、コンピュータ制御のジャカード織機が普及してきたことで、より複雑に糸をコントロールできるようになってきています。これによって細かい模様が表現できるようになり、芸術性の高いタオルも登場しています。
ジャカード織りで花柄を表現した今治タオル3選
古くから良質のジャカード織りのタオルを贈りだしているのが今治タオル。花柄はおなじみの柄ですが、じつは、曲線が多く立体的に表現するのがむずかしい柄でもあります。伝統の技術を駆使して表現された、ステキな花柄のジャカード織りの今治タオルをご紹介します。
上げ落ちジャカード織り|可愛い花柄のふわふわタオル
渡辺パイルの「布和里タオル・はな」は、手摘みされた完熟したウズベキスタン綿を、自然にも素材やさしい方法で加工して、綿本来の持ち味を生かしたふんわりとした糸をつかって織られた今治タオルです。
この環境に配慮してつくられた糸を淡くてやさしい色に染め上げて、上げ落ちのジャカード織りで、和テイストの花模様を織りだしています。
短めのパイルの上げ落ちでつくられたデコボコとした柄の手ざわり。立体的な織りのおかげでお風呂上りにタオルが肌にペタリとはりつく感じが少ないのも特徴です。
主張しすぎない上品な花柄と6色のシンプルカラー展開で、どんな部屋にもなじむので、贈り物としても最適です。
価格:2,500円(税抜)
毛違いジャカード織り|スタイリッシュで繊細な花柄タオル
村上パイルの「MiLT Lotus(ミルト・ロトス)」は2色の糸をつかった毛違いジャカード織りの中でも、今治の伝統的な技法「片毛シャガード」で、蓮の花を繊細に織りあげた1枚の絵のように美しい今治タオルです。
片毛シャガードは、模様の部分はパイルが出ないように型と機械を調整して織っていく高度な伝統技法です。細い線で描かれた茎と花びらがとてもスタイリッシュで優雅な雰囲気を感じさせます。
泥の中で花開くという蓮の凛とした様子を閉じ込めるために、糸の色にもこだわった上品なカラーも魅力。使いごこちは今治ブランドの保証付きなので、カッコいい大人の女性にプレゼントすれば、喜んでもらえること間違いなしです。
価格:2,500円(税抜)
多色ジャカード織り|複雑で芸術的な花柄のタオル
七福タオルの「イッソエッコ(ISSOECCO)・スーリ」は、ジャカード織りの中でも、糸染め、デザインの型づくり、織りの技術、すべてに高いレベルが必要となる、多色ジャカード織りでつくられた今治タオルです。
「イッソエッコ」はテキスタイルのデザイン会社とコラボしてつくられているブランドなので柄のデザインがとても複雑。
七福タオルの美しい糸染めの技術と、熟練の職人の織りの業によって、まるでアートのような大胆な花模様が立体的にカラフルに表現され、毛違いと上げ落ちの両方をつかいジャカード織りの良さがつめこまれたタオルです。
無撚糸の高い吸水性とふんわりとしたやわらかさ、個性的なデザインで華やかさを兼ねそなえているので、お祝いの品としても向いています。
価格:4,000円(税抜)
まとめ
ジャカード織りと、伝統技術の光る今治タオルをご紹介してきました。
ふんわり系で柄のタオルをえらぶなら、ジャカード織りのタオルがオススメです。色も柄も風合いも長くたのしめるので、ちょっとお値段がお高めでも、えらぶ価値ありです。