タオルは機織り(はたおり)の機械で作られるもの。タオルについてちょっと詳しい方なら、これは常識かもしれません。
実際にこの方法で織物として記事になるタオルがほとんどを占めています。ただ、国内色々なタオルを探してみると、実は違う製法で作られているタオルもあるのです。
それが、「編みパイルのタオル」なのです。
普通のタオルが織物なのに対して、編み物の手法でパイルを作ったタオルのことです。今回は、織物の違いと編み物の違い、そしてその手法で作られるタオルの特徴についてお伝えしていきます。
まずは知っておきたい!織物と編み物の違い
織物と編み物の一番の違いは、使われる糸の数です。織り物は幅に応じた多くのたて糸(経糸)とよこ糸(緯糸)の2種類の糸が使われます。
一枚の生地を作るのに、織りパイルタオルの場合には幅側に何本もの糸が並んでできています。通常の場合ベース部分を作るたて糸とパイルを作るためのパイルたて糸の2種類とよこ糸の組み合わせで織られる仕組みになっています。
一方で、編み物とは1本の糸(緯糸)を、ループを作り糸をひっかけながら形成していく生地。編み物はニットとも呼ばれますね。
手編みを想像してみると理解しやすいのですが、編み物をする時のいとはひとつの毛糸玉からだした糸を、かぎ針でひっかけながら編み進めますよね。編みパイル手法もこれを応用した機械を使って作られるのです。
織物の織り方と種類について
織物は、糸を90°交差して作られる布地のことです。
糸がたて糸と呼ばれる縦方向の糸と、よこ糸と呼ばれる横方向の糸とが組み合わさって作られています。タオルは一般的にこの織物の手法で作られますが、他の代表的なアイテムとして敷物(カーペット)、寝具、タペストリーなど広く日用品に使われています。
基本的な織り方としては、平織り(ひらおり)、綾織り(あやおり)、朱子織り(しゅすおり)の3つの織り方となります。タオルでは端のヘム部分で違いがみられることがあります。
1.平織り
たて糸とよこ糸がそれぞれ垂直に交わるように作られた最も基本的な織り方。比較的隙間が多く、通気性が必要なシャツなどに用いられます。
2.綾織り
斜文織とも呼ばれています。たて糸とよこ糸の交わるポイントが一段ずつずれているように設計された織り方。デニムやヘリンボーンは、この綾織りで作られています。
3.朱子織り(しゅすおり)
上下左右で交わるポイントが隣接しないように配置された、規則的な織物です。表面を触るとたて糸だけ、もしくはよこ糸だけの部分が広いために滑らかで光沢がでます。サテンとも呼ばれるのがこの織り方。
編み物と編み方の種類について
編物とはループを作り、そのループに次の糸を引っ掛けてつなげて面を形作ってある布地もしくは製法のことを指します。ニットと呼ばれるのがこの手法で作られたもの。
編まれることで、縦横に伸縮性があって、フィットするような感覚が味わえます。
編物の編み方は『よこ編み』と『たて編み』に分類され、衣類に使用されるほとんどがよこ編みです。
1.よこ編み
よこ編みは、布の幅方向の糸でループを作って連結させる編み方。
Tシャツやスウェット、セーターなどの衣類のほとんどが、よこ編みで作られています。
2.たて編み
たて編みは、布の長さ方向に多数配列された糸のそれぞれでループを作り、連結させる編み方です。
自動車の天井やカーペットに使用される内装材のような工業製品に多く使われます。身近なところでは、スポーツウェアや水着、カーテンなどがたて編みの手法で製造されています。
一般的な織物と編み物でできた生地の特徴をまとめてみました。タオルの場合にはシワということはほぼ影響しませんが、編み物タオルの方が寸法が安定しにくかったり縮みが大きかったりという違いがでてきます。
ただ、さわり心地についてはタオルとなると、表面のパイルの性状のほうが強く影響してきます。どちらの製法でもパイルが長く糸がなめらかならすべすべした感触になりますし、強く撚られたタオルならばゴワゴワっとした硬い印象のタオルになります。
※ドレープ性とは、布やカーテンなどがどれくらいしなやかで流れるような状態になっているか、その特性のことを指します。
織物タオルと編み物タオルの違いをみてみよう
一般的なタオルは織物の手法で作られます。そんな織りパイルの代表的な表面の状態はいかのような見た目となっています。この手法の場合にはベースの生地の表面裏表にループ上のパイルが前後左右整列している特徴がでてきます。
これは織物のパイルが無数に並べられた長手方向の糸を丸く折り曲げて作られているためです。ゴム素材のような特殊な糸が使われていない限り、形はほぼ一定で伸び縮みはしません。
一方で編みで作られるタオルは、本当に珍しいのですが以下のような見た目になっています。
上記の比較表の寸法の安定性の悪さを逆に生かした、波打つような見ためデザインになっています。
この珍しい編みパイルのタオルは「そらごこち(SORAGOKOCHI)」という奈良のタオルメーカーで販売されているもの。パイルがそれぞれ編まれているために、糸抜けがないという特徴もあり非常に面白い特徴があります。
もともと80cmの長さのフェイスタオルが、110cmと35%も軽く伸びます。ゴムではないのにこれだけ伸びる不思議。織りのタオルとの一番大きな違いといえます。
まとめ
今回は、織物タオルと編み物タオルについてお伝えしました。一般的なタオルは織物タオルだということをお伝えしました。
一方で国産のタオルで、編み物で作られるタオルが存在するというのも驚きだったかと思います。実際にタオルを使った感想も記事執筆していきますので、タオルラボの更新情報をお楽しみに
国産タオルだけみても色々あって面白いですね。